語りえぬものはかく語りき

柾葉進の徒然なる随想ブログ

2018-12

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[2015-01-05]  エロゲソングを漢詩にしてみる  

夕食中にぼーっと考え事をしていた時に、ふと思いつきました。

「現代の歌を漢詩に訳せないだろうか?」と。

そして何となく最初に思いついたのが「鳥の詩」で、試しにやってみたら意外と良い感じになりました。この歌はエロゲ史において最も有名な曲と言っても過言ではありませんが、漢詩という形で見てもなお惹きつけるものがあるように感じます。


鳥詩

我仰見航跡雲消
避眩我心常弱也
願彼時永劫不変
悔終変而離汝指

我仰ぎて見る航跡雲の消ゆるを
眩しきを避くる我が心は常に弱し
願はくは彼の時より永劫に変はらざるを
終に変はるを悔いて離さん汝の指



彼鳥未能飛於空
応切風而知己生
彼地未至在遠方
将秘願而眺己道

彼の鳥未だよく空を飛ぶ能はず
応に風を切りて己の生を知るべし
彼の地未だ至らず遠方に在り
将に願を秘めて己の道を眺めんとす



少年少女往線路
晒裸足于夏爽風
幼少日日在彼方
飛翔希望在両手

少年少女は線路を往く
裸足を晒す夏の爽風
幼少の日日は彼方に在り
飛翔の希望は両手に在り



我駆追航跡雲消
彼時越此丘不変
我与汝豈唯直焉
請保強心如海神


我駆けて追う航跡雲の消ゆるを
彼の時此の丘を越えしより不変
我と汝と豈に唯だ直きのみならんや
請う強き心を保つこと海神の如きせん







見ての通り、白文→書き下し文の順に書いてみました。

最初の句で、いきなり困ったのは「飛行機雲」の訳です。当然ながら漢詩や漢文の時代には飛行機自体がまず存在しませんから、飛行機雲という現象は発生せず、したがってそれを表現する言葉もありません。かといってそのまま「飛行機雲」とするのも、漢詩のあの独特の固さが出てくれない。そこで現代中国語を調べてみると、飛行機雲のことを「航迹云」と書くらしいことがわかりました。日本の漢字に直すと「航跡雲」。実は日本語でも航跡雲という別名があるようです。(高積雲と音がかぶるためか、日本ではあまり使われているイメージがありませんが。)

「航跡雲」……良い。良いじゃないですか。飛行機という文明の利器を直接表示するのではなく、旅を連想させる「航」の字に「跡」を連ね、この歌のテーマでもある鳥の旅路を隠喩し、そして人が自らの辿ってきた道筋を振り返るような情緒までが漂ってくるようにさえ感じられる。よくよく調べてみると現代中国語では「飛机云」(飛機雲、飛も本当は簡体字になります)という表現もあるようですが、上述の理由から飛機雲よりは航跡雲のほうがふさわしいと思い、そちらを採用しました。

まあでも後半はわりとスラスラ訳せたように思います。ところどころ文法が崩れていますが、漢詩でもわりとよくある程度には抑えられていると思います。

あと、漢詩は本来ならば「韻」を踏むのが重要なのですが、さすがにそこまで意識して作るのは難しすぎたので今回は無視しました。本当の漢詩好きの人には怒られるかもしれません。すみません。

ただ、対句表現的なものはちょこちょこ入れられたんじゃないかと思って満足してます。特に二段落目の「彼鳥~知己生」と「彼地~眺己道」はほぼ同じ形にはめることができ、日本語ではそういうイメージがなかったのに、実はここの二文は対応していたのか・・・というような発見もありました。(若干、無理矢理ですが)

まあ細かい部分にいろいろと粗があると思いますが、全体として漢詩っぽくまとまってくれたのが嬉しかったです。今までは暇なときに漢詩の本をパラパラ眺める程度だったのですが、やはり自分で訳すとなると難しくて、そして「もっと勉強したい」という気持ちになります。

中学高校の漢文の授業でも、こういう課題を出すと学習効果上がるんじゃないかな~とふと思いました。難しい韻とか文法とか置いておいて、まずは自分で、見よう見まねで作ってみるのが一番です。でも漢詩を一から作るのはあまりに敷居が高い。そこで現代の有名な歌をまずは漢詩に訳してみる。やってみるとわかりますが、細部を気にしなければ意外に簡単に漢詩になってくれます。「俺も漢詩つくれるじゃん」「おもしろいじゃん」→「もっとちゃんと作りたい」→「そのためには他の漢詩や文法をもっと学ぼう」→漢文の成績UP!……とかならないかなぁ。

以上、机上の教育論でした。

個人的に漢詩はかなり好きなので、世間でももうちょっとメジャーになってほしいと常々思っております。別に教養だとか高尚な内容だとかを求めているわけではなく、「単純に言葉の響きがかっこいい!」ということを、現代の歌を漢詩翻訳することで少しでも示せたのであれば、幸いです。


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哲学、歴史、文学、評論等。アニメやエロゲ(美少女ゲーム)を切り口にして論じたものが多数あります。

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